ころぐ

狙うとスベる

ブラブラ健忘録

以下、メモ書き寄せ集め。
 
 

「ジョンストンの双子の兄弟が死んだ日、母は叫んだ。愛しい息子たちが殺された。」

 
エディはわからなかった。「あなたはあの子達とは違うの」「ミッキーの言ったバカなことは忘れなさい」一緒だ、兄弟だから。ずっとそう思ってきたのに、ミッキーにまで言われた、「俺には俺の生活があって、お前見てるとムカつくんだよ」シューっと光を失うエディの目。右手で握りつぶされる、差し出したお金。
 
君、働いてないのか、それがなんだって言うんだ。僕だったら、失業手当をもらって、ボヘミアンみたいな暮らしをして、帽子は斜に被って、くたばっちまえ!って言ってやる。
 
僕が帰って来たんだ、仕事のことなんか忘れちまえ。リンダを呼んでお祝いしよう。金ならある、少しやるよ。
 
バカにすんなよ。
お前の金なんて欲しくねえんだよ。
 
俺に殴られる前に行けよ。
 
エディは感じたこと、思ったことはちゃんと自分の言葉にして伝える。真っ直ぐすぎる言葉で、でもちゃんと伝え続ける。そしてそのまま大人になり、なおも人に想いを伝え続ける職業に就く。
 
反対にミッキーは何も言わない。大事なことは何も言わない。あんなに大切に想っているリンダにも、結局「付き合ってくれ」としか言えない。(まあ、ぼくは君をあ〜いしちゃってるって言うけどあれはノーカン)、母ちゃんにだけ、「母さんは最高だよ」って言う。奇しくもこの言葉は、エディも言っている、「おばさま最高だ!」。この言葉を聞いた母ちゃんは、何を想っただろう。「母さんは最高だよ」という言葉だけを残して、ミッキーは薬によって言葉を失ってしまう。
 
想いをそのまま言葉にすればいいだけなのに、本当のことがずっと言えない。「なんて言ったらいいか、分からないんだ」。それはエディにも、リンダにも、母ちゃんにも。
 
「あんなのは子供の遊びで、俺は思い出したくもないんだ分かるか?」
 
絶対嘘だ。
「口に出さなければその日が来ないかと」願ったエディも、「ええ、覚えてるわ」と言ったリンダも(友達が話してたけどこれは多分昔みんなで遊んだときのことをエディは言ってるんじゃないかと)、そして何より「思い出したくもない」と言いながら、エディに背を向けて涙するミッキーも、みんなあの日々を心のよりどころにしていたと思う。
 
「あの人が私のことを好きだ、なんて言ったら大変よ。おじいちゃんになっちゃう。」おじいちゃんになる前に、好きだって言う前に、死んじゃったミッキー。おじいちゃんになるまで、その言葉を隣で待っていられるって、思っていたのに。
 
「なんで俺を渡さなかった?」
「そしたら俺が、俺がこいつだったかもしれないのに。」
私は、ミッキーの銃は誤爆だと思っている。
ミッキーはこの後、何を言いたかったのだろう。それをずっと考えていた。やっと、やっと本当の気持ちを、自分の言葉で言えたんじゃないかって思っていた。
連載で照史くんが言ってくれた言葉、ミッキーの口から聞きたかった。でもあの言葉があったから、私のブラブラもまた終われたなって思っている。
 
そして、誤爆だとしてもミッキーの手によってエディ・ライオンズとしての人生を終えたエディ。ただなぜか、これも運命のような、決してバットエンドじゃない気がしていて。ミッキーによって与えられた、「エディ」・ライオンズとしての人生を、他でもないミッキーによって奪われるならそれもまた、エディの本望のような気がしてしまう。